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AI時代に部下は必要か?上流は1/5、下流は1/100になる理由

目次

3ウィンドウ並列でClaude Codeを動かしていたとき、手が止まる瞬間がありました。「これだけの量を、1人でさばけてしまうのか」。その感覚を前記事「Claude Codeを複数起動したら、部下が要らなくなりかけた」に書いたのですが、書き終えてからも頭に残り続けた問いがありました。「では、人間の部下はそもそも何のために要るのか」。

巷でよく聞く答えは「AIを部下にすればいい」。ただ、これは問いに答えていません。ぼくから見ると、答えは「フェーズによって全然違う」です。この記事では、超上流・上流・下流の3層でAIの代替率を解体して、どこに人間が残るのかを整理します。

「部下が要らなくなりかけた」から始まった問い
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3ウィンドウ並列でClaude Codeを動かしてみて、思った以上の量の仕事を1人で回せることがわかりました。プロジェクトリーダーに任せていた構想設計や指示出しを、自分の手元で巻き取れる場面が増えたのです。

そこで生まれた問いがこうでした。「ぼくの組織は7〜8クライアント・20以上のプロジェクトが同時並行で動いているけれど、そのうちどれくらいが本当に『人間の部下』を必要としているのだろうか」。

超上流・上流・下流で、AIの代替率がまったく違う理由
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ぼく自身の肌感覚を先に出してしまうと、こうです。

  1. 超上流:1/5
  2. 上流:1/10
  3. 下流:1/100

差を生むのは「視座の希少性」と「作業の定型化度」の2軸です。視座が希少なほどAIに代替されにくく、作業が定型化されているほどAIに代替されやすい。この2軸が掛け算で効くので、超上流と下流の圧縮率の差は単純な倍数以上に広がります。

超上流(1/5):問・解・制約の設計はAIに丸投げできない
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超上流とは、何を問い・何を解き・どんな制約の中でやるかを設計する仕事です。戦略・構想・事業価値の設計といったレイヤーがここにあたります。

ぼく自身も過去に痛感したことがあります。超上流に座っていない人に「事業の構想を考えて」と振っても、いくら時間をかけても何も出てこないのです。逆に視座を持っている人なら、5分考えて指示を出せばAIから1/12くらいの叩き台がすぐ出てきます。視座の差が時間の差に直結する領域です。

なので超上流においては、人間そのものが減るというより、「視座を持つ少数の人間」がAIの力を借りて並列でプロジェクトを回せるようになる、という形で圧縮されます。視座がない状態でAIを使っても何も引き出せないという話は別の記事(「視座がないと、AIは空回りする」)で詳しく書きました。

上流(1/10):判断は残るが、論理的導出はAIが埋められる
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上流は、超上流で決まった構想を要件・アーキテクチャ・実装方針に落とし込む層です。IT業界でいえば、要件定義やアーキテクチャ選定がここにあたります。

上流の仕事の多くは「上位概念から論理的に導出される」という性質を持っています。ビジネスの上位概念がくっきり言語化されていれば、それを実現するハウの大半はAIに考えさせられます。そこで発生するトレードオフに人間が判断を入れさえすれば、残りのピースはAIが補完してくれるのです。判断ポイントだけ人間に残し、論理展開の労力はAIに渡せる。これが上流が大きく圧縮される理由です。

ただし完全には消えません。トレードオフの判断には、ビジネス側の事情や業務知識、業界慣習などをキャッチアップした上での腹決めが要ります。ここはまだ人間の領分です。

下流(1/100):手を動かす作業はAIが最も得意
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下流は、決まった仕様をコードに落としたり、手順書に従って運用作業をしたりする層です。

ここの圧縮率は1/100、場合によっては1/500や1/1000にもなり得ます。手を動かすだけの作業はAIが最も得意な領域だからです。実際、ChatGPTが出始めてから、クラウドワークスで1文字0.1〜0.5円で記事を書いていたような執筆の仕事はほぼ消えていると思います。質のよい原稿が一瞬で出てくるからです。ITの世界でも、設計の判断を含まないコーディングだけの仕事はもう壊滅に近いはずです。

「技術には詳しいけれど、業務や事業のことはあまり」という人の適材適所率もどんどん下がっていきます。トレードオフの判断は上位概念を理解していないとできないので、技術だけ詳しい人は判断の場に座れないのです。

AIが替えられない「人間の仕事」は何か
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圧縮率の話をすると「では人間に残る仕事は何か」という問いに行き着きます。ぼく自身が今も人間に任せている仕事を棚卸ししてみると、4つに分類できました。

対面の関係構築
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クライアント先でも社内でも、生身でないと成立しない信頼形成があります。

雑談からこぼれる本音、表情から伝わる温度、その場で握る方向性。これらはチャットやメールでは取れない一次情報の塊です。AIに食わせるためのコンテキストの源泉が、ここにあります。

非公開情報の収集
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組織の外には出ていない情報、検索できない情報、その場に居合わせないと取れない情報があります。

これらはAIがどれだけ賢くなっても、人間が現場に出ていって取得するしかありません。AIの能力の高低ではなく、情報のアクセス権の問題だからです。

取得した情報の「AIリーダブルな変換」
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意外と語られないのがここです。人間が取得した一次情報を、AIが扱える形に整える作業自体が人間の仕事になります。

たとえば、雑談で聞いた話を構造化したメモにまとめる、現場の感覚を要件として言語化する、暗黙知を明示知に書き換えるといった作業です。この変換工程を経て初めて、AIは仕事を引き継げます。

ぼく自身も、この変換作業が思ったより手間のかかる仕事だと実感しています。「情報を取れるだけ」ではなくて「AIに渡せる形にできる」人が差をつけられる、という感覚がある。この変換設計を上司がどう整えるかという観点は「部下のAIアウトプットがズレるのは、上司のコンテキスト管理が足りていないから」で書いています。

説明責任
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アウトプット(資料・成果物そのもの)とアウトカム(それがもたらす成果)の両方について、説明責任は人間にしか持てません。

AIは成果物を作れますが、なぜそれを選んだのか・どんなトレードオフを越えてきたのか・成果が出なかったときに何を見直すのか、を語る主体にはなれないのです。「責任を取れる人間」が組織に必要な限り、説明責任は人間の仕事として残ります。

部下の要否より、自分の視座がどこにあるかを問え
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ここまでの整理を踏まえると、「部下は要るか・要らないか」という問いの立て方そのものがズレていることに気づきます。

問うべきは「自分の視座はどの層にあって、どの層で勝負するつもりか」です。

超上流に座れる人は、AIを使いこなして1人で複数プロジェクトを回す方向に進めます。視座がレアであるほど、AIによるレバレッジが大きく効くからです。

上流に座っている人は、判断ポイントを残しながらAIに論理展開を任せる方向にシフトできます。トレードオフを腹決めできる経験値が、これからより重要になります。

下流に座っている人は、率直に言うと厳しいです。圧縮率1/100の波をまともに受けるからです。ただ、下流の作業を超上流・上流の視座と接続できる人——たとえば「現場で手を動かしながら事業の意味も語れる人」は、AIに食わせるコンテキストの質で差別化できます。下流から上に視座を伸ばす道は残っています。

ぼく自身は、超上流に視座を寄せながら下流のオペレーションを並列で回す、というポジショニングを取っています。これが正解だとは思っていませんし、業界や領域によって最適解は変わります。ただ少なくとも、「自分の視座がどこにあるか」を意識せずにAI時代を渡るのは難しい、ということは言えそうです。

まとめ
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AIによる適材の圧縮率は、超上流1/5・上流1/10・下流1/100と層ごとに大きく違います。差を生むのは「視座の希少性」と「作業の定型化度」の2軸の掛け算です。

人間に残る仕事は、対面の関係構築・非公開情報の収集・AIリーダブルな変換・説明責任の4つ。どれもAIが「能力的にできない」というより、「主体として担えない」種類の仕事です。

部下が要るかどうかは、「自分の視座がどこにあるか」を問い直した後で初めて意味を持ちます。

NAE
著者
NAE
IT戦略が専門の外資コンサル。「こうしたほうが早くない?」が口癖の効率化マニア。目指す人物像は三国志の左慈仙人。詳しいプロフィールはこちら

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