仕事での依頼でよしなにと言われて困ったことはありませんか?
- 「よしなに作って」
- 「ここらへんはよしなに」
- 「よしなにでいいよ」
これ、結局なにをどうすればいいかわからないですよね。
それもそのはず、「よしなに」という言葉は仕事で絶対に使ってはいけない厄介ワードなんです。
そこで今回は
- 「よしなに」の意味と語源
- 「よしなに」がなぜ厄介か
- 「よしなに」被害を避ける方法
についてお話しします。
仕事で「よしなに」と言われて困ったことのある人の役に立てればと思います。
「よしなに」とは?意味と語源#
そもそも「よしなに」の意味と語源はなんでしょうか。
<よしなにの意味>
「よいように」というのが本来の意味で、現代では**「適当に」「よろしく」とかの意味**に使われるようになっています。
この「よしなに」という語源の由来は、天孫ニニキネのお妃である「このはなさくやひめ」が三つ子を産み、お祝いに駆け付けてきた4人に、3つしかない胞衣を分けなければならなかったからで、「よしなにはからう」つまり、お互い喧嘩しないように分け与えることに苦慮したことが語源になっています。
(出典:imimatome.com)
つまり「よろしく」「(適切という意味での)適当」ということです。
曖昧ですよね。
この曖昧さがクセモノなんです。
「よしなに」が厄介な理由#
軽い雑談で「よしなに」が使われる分には問題ありません。
しかし仕事のやりとり(=ビジネス・コミュニケーション)における「よしなに」は避けるべき厄介ワードです。
なぜなら、「よしなに」の意味の曖昧さが無駄の温床になるからです。
例として、上司から「資料をよしなに作って」と依頼された場合を考えてみましょう。
パイセン: 明日の会議資料、よしなに作っといて NAE: 承知しました
~1時間後~
NAE: できました。確認お願いします パイセン: イメージと全然違う 。やり直し NAE: は、はい
~さらに1時間後~
NAE: 直しました。どうですか? パイセン: ここ、 もっといい感じ にして NAE: ・・・
~もう1時間後~
NAE: こんな感じですがいかがでしょう パイセン: 大体OK。あと俺やっとくわ NAE: (夜10時かよ……)
いかがでしょうか。
この1~2往復目、無駄ですよね。
「よしなに」からの「イメージと違う」、そして「いい感じ」というコンボ。
これではレビューと直しの往復回数が増えるだけで、資料作成完了がどんどん後ろ倒しになるだけです。
こうなる原因を、「よしなに」の生む2つの曖昧さでひもといてみましょう。
「よしなに」は期待値が曖昧すぎる#
「よしなに」系の依頼は、成果物(アウトプット)に対する期待値、つまり仕事の完了条件が曖昧になりがちです。
これではゴールが見えず、どうすれば終わるかわからないままもがき続けるしかなくなります。
頼まれる側に対し、期待値が正しく伝わらない典型的な頼み方が「よしなに」なのです。
最悪なのは、依頼する側すら仕事の完了条件を理解していないパターン。
とりあえず「よしなに」で振っておき、出てきたものをレビューするスタンスで仕事を依頼されたとしたら、エンドレスなスパーリングが深夜まで続くことになります。
「よしなに」は責任範囲が曖昧すぎる#
「よしなに」とだけ依頼すると陥るのが、何をどこまで自由にやって良いのかわからないという罠です。
ありがちなのがこちらのパターン。
よしなに=全部お任せ、か。 →オリジナリティ発揮! →レビューでズタボロ
たとえば、プレゼン資料を「よしなに作って」と言われたとしましょう。
先方の想定するあなたの責任範囲は、次の4つのどれだと思いますか?
- そもそも何を伝えるのかを含めて全部任せる
- 言いたいことが伝わるなら資料のレイアウトは自由でいい
- 資料のレイアウトが「よくあるパターン」であれば細かい表現は任せる
- 1つ1つ細かな表現に至るまでレビューする
全くわからないですよね。
責任範囲が曖昧なまま人に仕事を振る頼み方。それが「よしなに」なのです。
本当は10だけ作ればよかったのに念のためで100作り込んでしまい、結局90にかけた労力が無駄になった……なんていう悲劇が「よしなに」の一言で起こってしまうわけです。
「よしなに」を仕事で使ってしまう理由#
このように仕事において厄介すぎる「よしなに」という言葉。
なぜまかり通ってしまうんでしょうか。
理由はだた1つ。怠慢です。
仕事を頼む側の怠慢#
仕事を頼む側からすると「よしなにお願い」は楽です。
空気や行間を読んで自分の期待通りのものをもってきてね、なので
しかし、これはただの怠慢です。期待値や責任範囲を明確にするという、依頼側の責務を放棄しています。
仕事はきちんと設計し、伝えるべきことを正確に伝えないと回りません。
たとえば1時間後の自分に「よしなに」と指示したとして、未来の自分はきちんと動けますか?
仕事を受ける側の怠慢#
仕事を受ける側にも怠慢があります。
「よしなにお願い」と言われたとき、期待値や責任範囲の認識にズレがないか検証せず、脊椎反射的に「はい」と言う。
「仕事は指示する側が設計すべき」「自分は指示をこなすだけ」と考える。
これではいつまでたっても「よしなに」被害は避けられません。
指示された側がその内容を検証し、情報不足を指摘しないと、依頼側の怠慢による「よしなに」は是正されることなく続くのです。
「よしなに」による無駄を防ぐ方法#

このような「よしなに」による時間&労力&精神面での無駄な被害はどうすれば防げるのでしょうか。
ひとつ、いいツールがあります。成果物イメージです。
成果物イメージとは#
成果物イメージとは、実際に作るものの設計書です。
- その仕事の目的はなにか
- 目的達成のために作るべき成果物はなにか
- 成果物には何がどう表現されていればよいか
これら要点を、成果物作りを始める前に固めてしまうためのツールです。
コンサルの人たちはアウトプットイメージと呼びます。
成果物イメージの具体例:Excel#
たとえばExcelでデータを集計・分析する場合、下記ポイントを成果物イメージの段階で決めるべきです。
- 分析結果サマリシートのレイアウト(分析の軸)
- 何をどう分析するかのロジック
- 集計元のデータシートの縦軸(行)と横軸(列)
- 収集するデータの範囲と粒度
こうすることで、どんなデータをどの範囲・粒度で集めればよいか明確になりますね。
すると不要なデータを集める無駄を省けますし、収集が難しいデータがあるリスクも事前に検知できます。
成果物イメージの具体例:パワポ#
たとえばパワポでプレゼン資料を作る場合、成果物イメージの時点で決めるべきは下記です。
- 目次(全体のストーリー)
- 各章のスライドの構成(章別のストーリー)
- 各スライドで伝えるべきこと(1スライド1メッセージ)
- それをどのように表現するか(ロジックやレイアウト)
- それを裏付けるために必要なインプット
ここまで決まっていればあとは作るだけ状態でしょう。
各スライドのつながりが保てるなら、各スライドを複数人で分担して作れそうです。
作業分担の観点からも、成果物イメージは重要なんです。
「よしなに」依頼に対して言うべきこと#
ここで大事なことが1つあります。
成果物を作り始める前に成果物イメージを合意することです。
「よしなに作って」 →「こんなイメージのものを作ります」 →「OK」
というやりとりで、ゴールを固めるのです。
こうすることで、
- 期待値や責任範囲の想定を確認できる
- これらが曖昧な場合、その場で決められる
- その他こだわるべきポイントを先出しで把握できる
といったメリットがあります。
もし誰かから「よしなに作って」と言われた場合、
「承知しました。ではまずは成果物イメージの認識合わせをさせてください」
と議論をふっかけましょう。
もちろんこれは次善策であって、そもそも「よしなに」を使わないほうが正しい姿ではあるのですが。
まとめ:「よしなに」は仕事で使わないで#
以上、「よしなに」は仕事では使ってはいけないというお話でした。
プライベートであれば「よしなに」は
- よしなにお願いします
- どうぞよしなに
など「よろしく」と同じ意味を美しく表現する日本語です。
しかし仕事とプライベートは違います。仕事において曖昧さは無駄の源なのです。
もし仕事で「よしなに」を使いたくなったら、**「よしなにって、具体的には?」**という問いをかけるよう心がけましょう。



