「違う視点で考えてみろ」「視野を広くしろ」「視座を高めろ」……などアドバイスされたことはありませんか?
なんとなく良いことを言っているふうに聞こえるので、言われると「そうか!」と思うかもしれません。
しかし、そこに罠があります。罠に気づくため、1つ質問をしてみましょう。
視点、視野、視座の違いを明確に説明できますか?
……おそらく、即答できるのは2割くらいの人だけだと思います。
そこで今回は、視点、視野、視座の違いを図を交えながら解説したいと思います。
視点、視野、視座とその関係
はじめに、視点、視野、視座の関係を理解しましょう。
視点は「注目している点」
視点とは、注目しているポイントを指します。
「売上アップ」という同じ目標を見ていても、単価と客数いずれに注目するかでアプローチは全く異なるはずです。
視野は「見る範囲」
視野は、見る範囲を指します。
短期的な「売上アップ」を目指すと単価×客数という数字を追うことになりますが、より長いスパンで見ると「むしろ今は売上よりも利益率」となるかもしれません。
視座は「見る立場」
視座は、見る立場≒目の場所を指します。
同じものを見るにしても、どこから見るかで見え方や見える範囲が違いますね。
そのため「視座」は「視点」と「視野」に大きく影響するのです。
視点、視野、視座が違うとはどういうことか
では、視点、視野、視座が違うとはどういうことでしょうか。
図で見ていきましょう。
「視点が違う」=注目ポイントが違う
同じものを同じ範囲で見ていても、注目ポイントが違えば意見は違ってきます。
「視野が違う」=見る範囲が違う
いわゆる「視野が広い/狭い」はこれにあたります。
「視座が違う」=見る立場を原因に、見る範囲や見え方が違う
たとえば、より遠くor高いところから見れば、より広い範囲が見えるでしょう。
逆方向から見ると、これまで見えなかった裏側が見えるかもしれません。
もしかしたら、見る角度によっては対象物が全く別物に見えることもあります。
つまり、「視座の違い」は「視点や視野の違い」の一因という位置づけになります。
視点、視野、視座の違いの具体例
では、視点、視野、視座が人によって違うことを示す実験をしてみましょう。
こちらの画像をごらんください。
さて、あなたはどこに注目したでしょうか?
ぼくは牛乳を毎朝飲むので、まず牛乳瓶に目が行きました。
しかし、人によっては金具部分がねじられているおもしろい泡立て器をはじめに見たかもしれません。
これが視点=注目ポイントの違いです。
次に、あなたはこの写真を見たとき、なにをどこまで想像しましたか?
ぼくは料理無精なので「調理器具と材料のキレイな写真」としか思いませんでした。
しかしお菓子作りに詳しい人なら「クッキーだな。でもこれじゃ小麦粉が全然足りない」と考えたかもしれません。
これが視野=見える範囲の違いです。
次に、あなたはこの写真のバターを見てなにを感じましたか?
ぼくは単に「バターだな」となにも感じませんでした。
が、バターvsマーガリン論争に敏感でマーガリン推進派の人にとって、この写真は「バターを使うなんてありえない!」というけしからん写真かもしれません。
これが視座=見る立場の違いです。
このように、同じ写真1つとっても人によって視点、視野、視座は全く異なるものなのです。
視点、視野、視座は「気づき」のツール
視点、視野、視座という考え方は、よい「気づき」のツールになります。
長いあいだ同じチームで同じプロダクトを作ってきた人でも、プロダクトの魅力を語らせるとあなたと全く別のポイントを挙げるかもしれません。
あなたの上司はきっと、あなたより高い視座で、より広い視野をもってのごとを考えているでしょう。
あの憎たらしいクライアントは、あなたの考える「正しい」が通用しないような視座で判断を行っているかもしれません。
それぞれがそれぞれ、自分が正しいと思うモノの見方をしています。
この違いに気づくために、「この人の視点、視野、視座はなんだろう?」と自問することは、より広くものごとを見るための「気づき」のツールになるのです。
まとめ:柔軟な思考で「脳力」を高めよう
以上、視点、視野、視座の違いについて、図解を交えて解説してきました。
ビジネスの成功においては、人と人との関係を上手に泳ぐ「ソフトスキル」が重要と言われています。(「人を動かす」で「脳力」と呼ばれているものです)
この「ソフトスキル」の根幹をなすのが、相手のことを慮る相互理解の力だと、ぼくは考えています。
「視点、視野、視座」の違いを意識することは、相互理解のはじめの一歩。日々意識することで、おのずと「脳力」の基礎力が鍛えられていくのではないでしょうか。
次に「憎いアイツ」と話すときは、ぜひ一度立ち止まって「視点、視野、視座の違いは?」と自問してみてください。
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