こんにちは、NAEです。
差別をなくそう・偏見をやめよう。気持ちはわかりますが、無理です。ゼロにはなりません。
でも、人を傷つけないレベルまで小さくするために今すぐできる心がけがあります。
今回はそんな話。
※おことわり:記事中に差別偏見の例が多く出てきますが、ぼく個人の意見ではありません
差別や偏見はどこで起こるか
出典:http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/kyt/important.htm
人の行動プロセスはざっくり3ステップに分けることができます。普通免許の教習で教えられることなので、多くの方が聞いたことがあると思います。
- 認知:ものごとを捉える
- 判断:次の動きを決める
- 操作:行動に移す
このプロセスを差別や偏見にあてはめてみましょう。ここでは例をわかりやすくするため、あんちゃさんid:aopa—–ndaの名前をお借りします。
差別・偏見Ver
- 認知:クソマジメゲスブロガーの自己紹介見たで
- 判断:いうても結局ゲスやろ。ロクでもないやつに違いねーよ
- 操作:ネガコメバッシングしたる!
さて、これが差別・偏見のないフラットな場合はどうなるか。
フラットVer
- 認知:クソマジメゲスブロガーの自己紹介見たで
- 判断:言ってることやってることだけ見るとまっとうな人やん
- 操作:応援するで!
このように見ると、差別や偏見はおもに判断のステップで起きているように見えます。
しかし、実際はその前段である認知の段階ですでに差別・偏見は始まっているんです。
認知バイアス:認知は無意識に歪む
「認知バイアス(Cognitive Bias)」という言葉をご存知でしょうか。
ある対象を評価する際に、自分の利害や希望に沿った方向に考えが歪められたり、対象の目立ちやすい特徴に引きずられて、ほかの特徴についての評価が歪められる現象を指します。
出典:http://ronri2.web.fc2.com/shinri.html
いわば根拠なき決めつけです。認知バイアスによって
- 相手に関する数少ない情報に対して自分の固定観念をひもづかせることで、相手を知ったつもりになる
- 十分な情報を得たとしても、自分の都合の良いようにその一部を切り取って(取捨選択して)しまう
ということが起きます。
認知バイアスにはさまざまな類型があります。ここでは差別や偏見に直接関連しそうなもののみピックアップしてご紹介します。
- 認知的不協和
- 事前情報や固定観念により、結論ありきで判断してしまう
- 例:京大卒なら主婦なんかもったいない。仕事できるんだから日本経済に貢献しなさい
- 内集団バイアス
- いわゆる身内びいき。身近な人をより高く評価していまう
- 例:イケハヤなんかよりこないだ会ったkeitaさんid:keita-agu-ynuの方が良い人だよ絶対
- バンドワゴン効果
- みんながやっているなら価値があり正しいはずだ、と思ってしまう
- 例:SIELDsのみんなああ言ってるし、きっとアベは辞めるべきなんだ
- 感情バイアス
- 自分に都合よい、自分の正しさを裏付ける情報を信じてしまう
- 例:社畜はバカ。ブログ飯なんて余裕だろ。だって実際やってる人いるし
- ハロー効果
- 一部の目立つ特徴だけ見て全体を判断してしまう
- 例:ゲスブロガーid:aopa—–ndaなんて名乗るんだからきっとろくでもないヤツに違いない
- フレーミング効果
- 同じことがらでも、表現方法によって異なる評価をしてしまう
- 例:私の戦闘力は53万マイクロです←すごそう 農夫の10分の1←しょぼそう
あなたにもある認知バイアス
いやいや、自分はフラットにものごとを見てるし認知バイアスなんて関係ないよ!
という方もいると思うので、ここで2つほどテストをしてみたいと思います。有名なものなのでご存じの方もいるかもしれませんが、おつきあい下さい。
まずは1つ目。こちらの写真をご覧ください。とてもセクシーで魅力的な女性ですよね。ついつい見入ってしまいます。
出典:RocketNews
ところでみなさん、女性の右後ろいるゴリラ、気が付きましたか?
次に2つ目。こちらの動画をご覧ください。白チームのパスの回数を正しく数えられるかのテストです。
ど真ん中でゴリラが踊っているのに気づきましたか?
これらは選択的注意(Selective Attention)と呼ばれるものの実例です。自分の興味のある点や事前に与えられた情報によって認知する対象が狭められ(歪められ)、目の前にあるはずの情報を取捨選択してしまう、というもの。認知バイアスでいうと感情バイアスやハロー効果に該当するでしょうか(分類の軸が異なるのでキレイには当てはまりませんが・・・)
というわけで、認知バイアスは誰にでもある、ということがご理解いただけたかと思います。
認知バイアスという言葉がときに「無意識のバイアス(Unconscious Bias)」と言い換えられることもあるのも納得ですね。
認知バイアスをなくすことはできない
さて、このやっかいな認知バイアスをなくす=ゼロにすることはできるんでしょうか。
答えはNoです。脳が許してくれません。
たとえば、相手の人となりを理解する、という場合を考えてみます。
差別や偏見なしに、つまり事実のみに基くフラットな判断のためには、それだけ多くのインプットが必要です。その人の性格や価値観、これまでの人生で達成・失敗したことなど、情報をつぶさに聞いて理解する必要があります。これは当然時間がかかりますし、頭も疲れます。
相手が1人だけならいけるかもしれません。しかし
- 相手が10人、100人いたとしたら?
- 1人あたりで与えられた時間が5分しかなかったら?
- 知り得る情報が極端に少なかったとしたら?
限られた情報で素早く、かつ楽に判断せざるをえません。すると、脳(人間)はものごとのパターン化し、当てはめるという行いをはじめます。相手の属性情報と自分の持っている既知の情報をつなぎあわせ、効率的に相手を理解しようとしてしまいます。精度はともあれ楽で早いので。たとえば
- 30代独身女性 → 結婚を焦っている
- 白人男性 → チャラい
- 社畜 → フリーランスになる勇気がない
というように。
これ、まさに差別や偏見ですよね。脳が楽をするかわりに差別偏見が生まれてしまう、とも言えます。
脳に楽をさせないことってできないの?と思うかもしれません。
それは脳の立場になると難しいことがわかります。脳は5感から与えられる膨大な情報をフル回転で処理しています。Googleによると、人間が受け取る情報量は毎秒1100万ビットである一方で、脳が処理できる情報量は毎秒40ビットだそう。
楽をするな、情報は全部受け取ってちゃんと判断しろ、という方が難しいのです。
認知バイアスを逆手に取る
ここまでをまとめると、
- 差別・偏見は「認知」する段階で起こる
- 人間の認知は歪んでしまう(認知バイアス)
- 認知バイアスは生きるのに必要な脳のしくみであると捉えることができる
- したがって、その副作用である差別・偏見をゼロにすることは難しい
ということです。
ゼロにはできない。であれば、次に考えるべきはいかにその悪影響を小さくするかですよね。
差別・偏見の原因が認知の歪みなのであれば、判断の段階で歪みと逆方向に力をかけて行動を正すというアプローチはどうでしょう。
- 認知:右方向に歪む
- 判断:左方向に調整する
- 操作:行動はフラットになる
認知の段階でどう捉えたかは置いておいて、行動をフラットにできるのであれば行動そのもので相手を傷つけることは避けられるのではないでしょうか。
最も重要な最初のステップは、自分がどういう認知バイアス(差別・偏見)を持っているのかを自覚することです。黒人に嫌悪感を持ってしまうかもしれません。金儲けを重視する人を卑しいと思ってしまうかもしれません。イスラム教徒はテロリストだと思い込んでしまうかもしれません。
あなたが答えを考えるべき質問はただひとつ。
あなたの色メガネは何色ですか?
まとめ:自分をの認知バイアスを知り、人に優しく
というわけで、どうしてもなくせない差別や偏見の悪影響を小さくするための1つのアイデアでした。
ぼく自身も可能な限り、人を属性でグループ化することなく個人個人と向き合うように務めています。しかしイメージが先行してしまうときもしばしば。これからも気をつけていきたいと思います。
平和な世の中になるといいですね。
今回は以上です。
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