ぼくがマネージしているチームは4つ。
2つはそこそこシニアなメンバーが率いているのでプロジェクトレベルで任せられているが、残りの2つは
- 若手が中心
- 組成して日が浅い
ことから、チーム内のタスク・スケジュール管理に踏み込むことが多くなっている。
しかし、これから5つ目6つ目のチームを組成するプランがあり、タスクレベルで見るのに限界が訪れる。
ので、今の2チームを
- タスクを任せるレベルから
- ミッションを任せるレベルへ
引き上げないといけない。
ので、具体的な方法をメモしていく。
タスクを任せるレベル
タスクを任せるレベルとは、ここでは
- 上司は、全体スケジュール、成果物イメージ、概略WBSまで一緒に作り、成果物のみでなく、タスク実行の段取りまでレビューする
- 部下は、日々上司の指示やレビューを受けつつ、WBSに基づき成果物を作成する
という役割分担である、と定義する。
上司の行いは、
- マイルストン、全体アプローチ、スコープ、スケジュールを定義する
- WBSと成果物の概略を定義する
- 報告会議体などの課題解決ガバナンスを定義する
であり、部下はそれを受けて
- 概略WBSを、自分や部下が手を動かせるレベルまで詳細化する
- 成果物を作成する。必要な各位コミュニケーションも行う
- 進捗をWBSへ反映、課題を発見・起票し、上司へ報告する
と動く。
ぼく個人の感覚からすると、この役割分担は若手管理職(マネジャーレベル)がスタッフを動かす際によく使われる。タスクの進め方に至るまで上司が責任を持つ形とも言える。
ミッションを任せるレベル
ミッションを任せるレベルとは、ここでは
- 上司は、プロジェクトのゴール(ミッション)、マイルストン、予算を定義する
- 部下は、全体スケジュール推進に必要な要素を定義し、必要なリソースの調達を含め、それを実行する
という役割分担である、と定義する。
上司の行いは、
- プロジェクトのミッション、およびその達成責任を負うメンバーを任命する
- 部下が定義したミッション達成までの道すじや、その進捗・品質・ファイナンスに責任を負う
- 会議体など、課題解決ガバナンスを定義する
- 兵站が途絶えない状況を維持する
であり、部下はそれを受けて
- あらゆる手段を講じてミッションを達成する
- 状況を適宜、上司へ報告する
- 兵站面の支援は、適宜上司へ相談する
と動く。
ぼくの個人的な感覚からすると、複数のプロジェクトを掛け持ちするシニアマネジャーレベルが行うスタイルがこれ。
トランジション方法
突然役割分担を変えてもワークしない。それなりのトランジションが必要だ。
ざっくりいうと、
- ミッションやマイルストンから全体スケジュールを導き出す
- スケジュール・品質に基づき、必要なリソースが見積る
- ファイナンスに基づきリソース計画またはスコープをシェイプする
あたりの具体的な進め方を、1つ1つ手ほどきしていく。
もちろんプロジェクトのトピックや難易度によりやりざまは異なるが、おおまかな枠はこんなものだろう。
加えて、
- それぞれをまとめる際の標準的なフォーマットやサンプル事例をインプットする
- 何度か、作っている様子を見せる(なにをどう考えているかを実況中継しつつ)
- 作らせてみたものをレビューする(巻き取りたい気持ちを我慢して、最後まで作らせきる)
を繰り返すと良い。
もちろん、このような活動を行うことが本人のキャリア志向性やステップにマットしていること、興味関心を持っていること(=前向きに取り組んでもらえる心理的な素地があること)を確認してから、である。
まとめ
上司は部下のケツを持つものだ。
しかし、任せる範囲を増やすほど、ケツを持つ難易度があがる。
たとえば、本記事で取り上げた「タスク」「ミッション」でいうなら、
- 「タスク」:ケツを持ちやすい。自分の時間を投入すれば巻き取れる
- 「ミッション」:ケツを持ちにくい。そもそも粒が大きい
であり、「ミッション」を任せるほうがはるかに難易度が高い。
そのため、任せられる状態であることを事前に確認する、または任せられる状態にしてあげることが必要だ。
「今日まではタスク任せてたけど、明日からはミッションまるごどお願いね」とはならない。時間が必要だ。人によるが、2〜3ヶ月は見たほうがいい。
そのため、ミッションを任せないと自分やチームが回らない状況が予見される場合、3ヶ月ほど前から育成に着手すると良い。
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