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中間管理職のストレスを根本解消に導く、ただ1つの心得

中間管理職の男性 計画・段取り

ぼくは外資系コンサルティングファームで管理職として働いています。中間管理職です。

さて、中間管理職というと、板挟みで、擦り切れていて、ストレスフルで・・・

というイメージをお持ちの方が多いと思いますし、実際そういう方は多いのではないでしょうか。

でも、視点とマインドを転換させ、本当の仕事にフォーカスすると一気に楽になります。というか、なりました。

そこで今回は、

  • 中間管理職がなぜストレスフルなのか
  • ストレスの根本原因である板挟みの構造
  • 中間管理職の本来の仕事

という観点から、中間管理職のストレスを根本解消できた方法をご紹介します。

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中間管理職とは

中間管理職とは、その名の通り

  • 中間:さまざまな関係者の間に立って
  • 管理職:自分の組織をまとめながら、うまい具合にものごとを進める

という立場の人間です。

部長、課長、次長、係長
マネージャー、チームリーダー・・・

呼び方はいろいろありますし、どこからどこまでが中間なのかの定義もまちまちですが、ここでは

  • 組織を率い、部下を持っている
  • 経営責任は持たない(いわゆる雇われ)

ということにします。

中間管理職のストレスの原因は「板挟み」である

さて、よく言われるのは中間管理職は上司と部下の板挟みだです。

しかし事情はそこまで単純ではありません。

もう少し細かく見てみると、登場人物は上司と部下だけではないですし、かけてくる圧の種類も実にさまざまです。

わかりやすいように、3つ登場人物に分けて話していきます。

中間管理職を下から突き上げる:部下

チーム

まずは自部門のメンバーたち。いわゆる部下です。

部下からの期待の代表的なものは

  • ワーク・ライフ・バランス
    • 残業少なく、休みはしっかり
    • ストレスの少ないワークスタイル
  • 自己の成長
    • スキルやキャリアアップ
    • メンタリングやコーチング
  • エキサイティングな仕事
    • より大きな裁量を持つ
    • 最先端の知識や技術を使う
  • 正当な評価と報酬
    • 納得感のある人事評価
    • 十分と思える報酬

といった感じでしょうか。いずれも大事なものばかりですね。

中には中間管理職の立場ではどうにもならないものもありますが、

部下はこのような期待をもって、組織のリーダーへ接してきます。

中間管理職を上や横から挟むこむ:自社の上層部や他部門

会社の上層部

次に自社。

ここでの自社とは、自分の持っている組織(部署やチーム)以外のすべての自社メンバーや組織を指します。

たとえば

  • 上層部(経営陣、執行役員など)
    • 経営目標の達成
      • 売上、利益
      • 業界でのプレゼンス
      • セキュリティとコンプライアンス
      • 社会貢献活動
    • 部門や領域別の目標達成
      • 部門・領域別の売上・利益目標
      • 案件別の利益率の遵守
      • 見込み顧客の数量
    • 進行中の案件の健全さ
      • 予定通りの進捗
      • 課題、リスクの適時適切な解消
  • 他の部門
    • 自部門の業務効率化への貢献
    • 自部門に影響する活動の共有

その他もろもろ・・・挙げ始めたらきりがありません。

自社からもいろいろな期待をかけられているという中間管理職の実情をご理解いただけるかと思います。

中間管理職をパワーで押さえつけてくる:顧客

顧客

最後に顧客です。

特にB2B(企業を対象としたビジネス)の中間管理職ともなれば、顧客に対面して仕事をすることがほとんどかと思います。

顧客は商品やサービスの受け側のため、当然いろいろな期待をもっています。

が、多くの場合、以下の3点に集約されます。

  • 旨い:より品質は高く
  • 早い:より納期は早く
  • 安い:より価格は安く

簡単ですね。

関係者全員から100点もらうのはそもそも無理

さて、多くの場合、これらの期待は相反します。

例をいくつかあげてみましょう。

顧客の「旨い、早い」に応える
→ 多くのことを短期間でやることになる
→ 瞬間的に業務量が増える
→ 部下に残業をお願いすることになる
→ 「ワーク・ライフ・バランス」を損ねる

自社の「案件別利益率」を守る
→ 顧客への請求額を上乗せする
→ 顧客の「安い」を満たせない
自社の「コンプライアンス」を優先する
→ 社内レビューを何度も通す必要がある
→ 顧客の「早い」に応えられない
自部門のプロジェクトの健全性を優先する
→ 関係する他部門へ期限の厳しい依頼をする
→ 他部門は手持ちの活動を一部ストップする
→ 他部門の「業務効率化」を満たせない

このように、あっちを立てればこっちがへこむトレードオフの構造になっているんですね。

このトレードオフを「利益相反」もしくは「利害の衝突」といいます。

つまり期待や利害が相反している以上、全員に対し常に100点で応えるのは無理です。

この事実は受け入れるしかありません。板挟み構造はそもそも回避不可能なのです。

中間管理職の本来の仕事は「判断、調整、コントロール」

曲がりくねった道を運転するのが中間管理職の仕事

この事実を認識せず、すべての関係者からの期待を正面から受け取り100%応えようとする、まじめで誠実、イエスマンな中間管理職ほど消耗し潰れていくんです。

もちろん、可能な限り期待へ応えようという姿勢は大事ですが、期待が相反する以上、そこには状況に応じた優先度判断があってしかるべきです。

例をあげてみましょう。

  • 状況:進捗が芳しくない。とはいえ、契約上納期は守る必要がある
  • 判断:特定の期間のみ、部下に残業をお願いする
  • 状況:顧客が価格交渉をしてきた。納期とやることは変わらない
  • 判断:であれば品質を妥協する、もしくは品質保証を含めない契約とする
  • 状況:この案件は大きなビジネスにつながる。顧客の期待に応えるべき
  • 判断:今は利益率目標を無視してでも案件を獲得し成功させる

このように、状況に応じ、どの期待を優先するか判断すること。

そして判断結果やその根拠を関係者と調整すること。

結果として全体が正しい方向に向かうようコントロールすること。

これらこそ、中間管理職の最も大事な仕事です。

正当な根拠をもって「ノー」を突きつけろ

要するに、何が正しいか判断し必要であればノーを言って回れってことですね。

そしてその「ノー」に正当な根拠があるのなら、板挟みによるストレスはこれまでよりもはるかに軽減されるはずです。

というより、人の意見に流される「いい人」系イエスマンの中間管理職は、そもそも判断や説明・交渉、人の動きのコントロールといった本来の職務を全うできていません。

言い方に気をつけつつも、毅然と「ノー」を突きつけないと、管理職としての職務を達成していると言えないのです。

 

まとめ:中間管理職こそ「いい人」をやめよ

以上、中間管理職のストレス軽減の正道は、本当になすべき仕事に集中することだというお話でした。

  • 組織の人間はそれぞれに価値観や優先度を持っている
  • 利益相反という構造上、関係者全員から100点をもらうのは無理である
  • その中で状況に応じて判断を行い、説明・交渉し、組織を正しい方向に向かわせるのが中間管理職の本来の仕事である
  • 全員に優しい「いい人」系イエスマンは即刻やめよ

中間管理職がどのように板挟まれているか少しでも理解してもらえたら、そしてイエスマンになって苦しんでいる中間管理職の方の救いになったら嬉しいです。

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