2017年12月14日に、初の著書『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。「最高の生産性」を生み出す仕事術』(通称:無理難題)を、日本実業出版社から出版することとなりました。
今回は、書籍の狙いや概要を紹介させていただくとともに、発刊に向けた思いを書かせていただきます。
「無理難題」の狙い
「無理難題」の狙いは、読者の方の「脱・負のスパイラル」をお手伝いすることです。
負のスパイラルとは
- 資料を書いても「ダメ、直せ」の連続
- なにをどう言っても、相手に通じない
- 仕事のスピードが上がらず残業続きだ
- 「アイツはね……」と蔑む視線が痛い
この連続で自己嫌悪に陥り、能率もスピード感も、そして意欲さえも失っていく。
そして「仕事=つまらない」と思えてきて、いっそう成果を出せず、自己嫌悪が加速する……
これが、「負のスパイラル」です。
ぼくも「負のスパイラル」にいた
実をいうと、ぼく自身も若手時代、負のスパイラルのさなかにいました。
「お勉強」ならできる典型的な「オリコウサン」だった当時のぼく。たまたま第一志望だったコンサルティング企業にすべり込めたものの、入社してからは失敗の連続でした。
- 「お前は資料の印刷も満足にできないのか?」
- 「1時間の会議の議事録に5時間かかるなんて、前代未聞なんだが?」
- 「この資料、本当に考えて作ったの?1秒でダメってわかるけど、脳みそ腐ってるの?」
参考クラッシャー上司に受けたパワハラ暴言系クソレビューコメント10選
Up or Out(昇進できなきゃ辞めていけ)の文化が根強かった当時、あまりに価値が出せないノーバリューコンサルタントだったぼくは、完全にOut側の人間だったのです。
正のスパイラルに乗れたきっかけ
しかし、ある言葉に出会ったことがきっかけで、ぼくは正のスパイラルに乗ることができました。
その言葉とは、「ベストプラクティスを愚直に実行せよ」です。
ベストプラクティスとは、先人が効果を立証している「仕事の型」にあたるもの。本来なら、仕事をする前にまず学ぶべきものです。
にもかかわらず、当時のぼくはベストプラクティスを軽視していました。
「お勉強」での成功で身につけた変なプライドに縛られ、「自分のやり方」に固執していたのです。
これが、長くてつらい負のスパイラルから抜けられなかった、最大の理由でした。
ベストプラクティスが自信をくれた
そこで、ぼくは過去の自分を清算することにしたんです。
仕事では役に立たない「お勉強」の成功体験を全部ゴミ箱にブチ込み、自分をゼロクリアしました。
そうしてできた真っ白なキャンパスに、先人の教えであるベストプラクティスを一つひとつ、置いていったのです。
愚直に学び、ただただ実践する。あたりまえのことを、バカになって、ちゃんとやる。
するとどうでしょう。おもしろいほど仕事がうまくいくんです。
それをきっかけに、「自分はできるんだ」という自己認識が育ち、それが自信につながり、意欲が復活していきました。
そうしてぼくは、負のスパイラルから脱却し、正のスパイラルに乗ることができたのでした。
「脱・負のスパイラル」をお手伝いしたい
仕事がつまらない、苦しい、やりたくない……
日々そう感じながら苦しむすべてのビジネスパーソン、特に若手の人の辛さを、ぼくは痛いほどわかります。
だからこそ、自分の過去の経験をシェアすることで、一人でも多く正のスパイラルに乗るお手伝いをしたい。
これが「無理難題」のゴールです。
「無理難題」のストーリー
「無理難題」は、ぼくが学んできたベストプラクティスの中から、若手ビジネスパーソンの役割と関連する5つのトピックについて、43個の仕事のコツを紹介しています。
親しみをもって読んでいただけるよう、ストーリーに乗せて、仕事のコツを紹介する構成にしました。
ここでは、紙面の都合で本書に書ききれなかったプロローグ部分をご紹介します。
女性向け高級アパレルブランド「PARA」を擁する日本企業、KSJ社。
管理部門を取りしきる役員である浅野専務は、社長の鶴の一声で決まったPARAブランドのグローバル展開に頭を悩ませています。
「いきなりグローバル展開しろと言われてもなあ」
「心配事はいろいろあるが、特に10年以上も動いてる顧客管理システムが心配だが……」
「そういえば最近、『ヨンヨン』とかいう『くらうどさーびす』な顧客管理が有名だと聞いたな」
「コロニー社の橋本さんに聞いてみるか」
コロニー社は、KSJ社と長いつきあいのあるIT企業。
浅野専務は、コロニー社に新設されたIT戦略部の橋本部長に電話で相談を持ちかけます。
「はい橋本です。あ、浅野専務!お世話になっております~。どうかなさいましたか?」
「……なるほど、『ヨンヨン』のクラウドサービスにご興味をお持ちなんですね」
「……はい……はい……承知しました。急ぎ調査してお持ちしますね」
「(やった!これは新しい案件につながる予感……!)」
IT戦略部を単体黒字にするべく、案件の獲得にひた走っていた橋本部長にとって、浅野専務の相談は願ってもいないチャンスです。
さっそく浅野専務からの『ヨンヨン』のクラウドサービスについての調査依頼を、現場リーダーである阿部先輩に伝えたのですが……
「えーと、さっき橋本さんから話があったんだけどな」
「KSJの浅野専務が、『ヨンヨン』サービスの導入事例を知りたいんだと」
「で、3日後の夕方にまた会うらしいから、それまでに資料を作っておいてくれと」
「というわけで、泉くんに君島さん、元気いっぱい夢いっぱいがんばろうか!」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!」
「前回、同じような調査したとき、どのくらいかかったか覚えてます!?」
「報告資料の最終提出まで10日はかかったんですよ!?」
「それをどうやって3日で終わらせろっていうんですか!」
「えーっとー、単純計算で3倍速ってことですよね?」
「ちょっと、ありえないくらいキビシイ期限かなーって思うんですけどー」
「もしかして、阿部先輩ってー……」
「バカなんですか?」
「あんたら、好き勝手言ってくれるねえ」
「でもオレは勝ちスジの見えない仕事は断るタイプなの」
「つまりッ!キミたちの仕事を3倍速にするのはッ!難しくないッ!」
「ということで、元気いっぱい夢いっぱい、この無理難題をやっつけてみよう!」
「(マジで言ってんのこの人……)」
プロローグはここまでです。
このあとも
- 「超絶気難しい例の部長と会議してきて!話せるのは5分だけだけど!」
- 「メールを闇に葬るので有名なあの人から、当日中に返信もらって!」
- 「部長レビューに向けて、クライントから一発OKもらえる資料を作って!」
- 「今日の役員会議出られなくなったから、かわりに仕切っておいて!」
など、次々と現場メンバーに「無理難題」が降りかかります。
阿部先輩、泉くん、そして君島さんの3人は、これら無茶ぶりをどうやって切り抜けていくのでしょうか……?
「無理難題」の目次
- 第一章:「仕事の速さを3倍に上げようか」……段取り
- 「すぐ手を動かしてはダメ?」……仕事の設計
- 「作業効率に頼ってはいけない?」……作業の設計
- 「なぜ作業は行き詰まるのか?」……作業効率
- コラム:「無理難題」の根本原因は?
- 第二章:「30秒以内で簡潔に説明してくれる?」……伝え方
- 「聞く耳を持たせるには?」……話の入り方
- 「横道にそれるのはなぜ?」……話の進め方
- 「理屈だけでは伝わらない?」……深く伝える
- 「用が済んだらバイバイじゃダメ?」……話後感
- コラム:「トイレは真ん中を使え」?
- 第三章:「え、そんなメール見てないよ」……メール術
- 「メールは基本、読まれない?」……読み手目線
- 「メールに頼らずメールする?」……人とパワーバランス
- コラム:メールは時代遅れのツール?
- 第四章:「クライアントから一発OKをもらって」……資料作成術
- 「資料は紙とペンで書く?」……資料の骨子
- 「ハズレ資料を作らないためには?」……レビューと手戻り
- 「響く資料を作るには?」……資料の磨き方
- コラム:「考える前」に考える
- 第五章:「今後の会議の仕切り役、任せるよ」……会議運営術
- 「議事録は会議前に書く?」……会議設計と準備
- 「負け会議とはなにか?」……会議運営
- 「会議後に雑談する意味って?」……会議のアウトプット
「無理難題」発刊に向けて
「無理難題」の執筆は、2017年4月17日、ブログの問い合わせ経由で入った一通のメールがきっかけで始まりました。
「書籍出版企画のご相談」
NAEさま
はじめまして。突然のメールで失礼いたします。
日本実業出版社にて、ビジネス書の企画・編集をしております、○○と申します。NAEさまのブログを拝見し、
当社からの書籍発行(弊社からご印税をお支払いする商業出版)について、
ご相談にのっていただきたく、ご連絡させていただきました。NAEさまのブログ記事は、
現場の最前線でコンサルタントとしてご活躍されているからこその内容であり、
ほかのコンサルタントの方とも一味ちがう内容だとお見受けしました。ぜひ、NAEさまのコンサルタントとしての知見を1冊の本にまとめるお手伝いをし、
思うように結果が出ずに悩んでいるビジネスパーソンを応援できればと考えております。ご多忙のこととは重々承知しておりますが、
まずは執筆へのご興味の有無だけでも、お知らせいただければ幸いです。
ビックリしました。
本を書くなんて、人生で一度も考えたことがなかったからです。
それも、自分自身まだまだ発展途上である仕事術がトピックです。
本当にどういう顔をすればいいかわかりませんでした。
書籍執筆のオファーがきたんだけどこういうときどんな顔すればいいかわからないの
— NAE@ガジェット好き (@naenotenet) April 17, 2017
葛藤しました。
書くべきか、書かざるべきか。
しかし、もしかしたらこれを逃したら次はないかもしれないという思いと、「やってみたい」という好奇心に負けて、執筆に踏み切りました。
それから8ヶ月、編集担当の方と二人三脚で執筆を続けてきました。
- どのようなコンセプトにするか?
- 伝えたいメッセージはなにか?
- どういう構成なら読者に優しいか?
- 伝わりやすい表現や言い回しは?
- 挿絵のトーンはどうするのか?
- 紙面におさめるため削れる文字はないか?
企画から執筆完了まで、やりとりしたメールの数は約200通、送受信したファイルは100個以上、紙での原稿のやりとりを3往復、そして対面での打ち合わせが3回。
書籍執筆が初めてのぼくに、担当の方は辛抱強く、最後までつきあってくれました。
「無理難題」は、編集の方の懇切丁寧なフィードバックとガイドがなければ、書ききれなかった作品です。
本当に、頭が上がりません。
感謝の気持ちを「おわりに」に書いて原稿をお出ししたところ、
あとがきの謝辞、ありがとうございます。
お気持ちだけありがたく頂戴します。
ということでしたので、ここでお礼を言わせてください。
本当にありがとうございました!!!!
まとめ:「無理難題」があなたのお役に立ちますように
以上、初の著書『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。「最高の生産性」を生み出す仕事術』(通称:無理難題)のご案内・ご紹介をさせていただきました。
ビジネススキルの研鑽に励む20代の若手の方のみならず、彼ら・彼女らを指導する立場にある方にもお役に立てていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
コメント