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仕事のコミュニケーション品質を底上げする「メモのとり方」のルール

箇条書きのメモ 資料・文書

仕事でメモを取る機会はとても多いと思います。

メモを取る→まとめる→共有する→次へのインプットにする

というサイクルを、みなさんも日々回しているのではないでしょうか。

 

さて、今回はそのメモについてです。

メモの品質について考えたことありますか?

実はメモの品質は仕事の効率化、特にコミュニケーションの品質に大きく影響します。

 

そこで今回は、コミュニケーションで飯を食ってるといっても過言ではないコンサルという仕事をやっているぼくが。

  • なぜメモのひとつで仕事の質とスピードが変わるのか?
  • どのようにメモを取るべきか?(マイルール)

をテーマに、コミュニケーション品質を高めるメモの取り方についてお話したいと思います。

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なぜコミュニケーション品質を気にするのか

仕事の効率というと、思い浮かべがちなのが作業効率ですよね。

エクセルのショートカットキーを極める、超高速でパワポを作るなどですね。

しかし作業効率以上に仕事全体の進み方に影響するのが、コミュニケーションの品質です。

仕事の3つの側面

そもそも、仕事には3つの側面があります。

  • 決める:意思決定。なにをやるのかを決める。
  • 伝える:決められたこと人に伝え、人を動かす。
  • 作業する:定められた仕事をこなす。

出典:ホワイトカラーの長時間労働問題の原因は、思考停止に陥る未熟さです | NaeNote

これらには優劣はなく、仕事をする人なら誰でもやることです。

執行役員でも「作業」しますし、新入社員が「決める」こともあります。

役割によって比率は異なりますし、トピックの大小はあるものの、「決める」だけの人や「作業する」だけの人はいません。

仕事をする全員が「決める」「伝える」「作業する」を何らかの形で行っています。

コミュニケーション品質は仕事の前提

この中で最も気を使わなければ行けないのが「伝える」です。

仕事はチームプレイです。個人事業主やフリーランスであっても取引先と「会社をまたがるチームプレイ」をしていることになりますね。

さて、チームプレイが成り立ち、各人が担当する作業が組み上がって1つの価値ある成果を生み出すためには前提があります。

それは「ものごとが正確に伝わっていること」です。

エクセルの作業分担の例

単純な例として、1000行あるエクセルを2人の部下に分担して編集してもらうことを考えます。

  • Aさんは前半、Bさんは後半を担当
  • 作業後にマージして1つのファイルにする

さて、この指示で2人は正確な作業ができるでしょうか。

 

…無理ですよね。指示する側の頭のなかにはあっても、2人に伝わっていないことが山盛りです。

  • 前半、後半をどの行で分けるか
  • 列の構成をどこまでいじってよいか
  • セルに書く中身の記述形式は
  • 記入する情報の粒度はどうするか

これらがきちんと伝わらない状態で、2人が各々マイルールでエクセルを触り始めたらどうなるか?

作業後の「直し」が必要ですよね。最悪、1000行全部レビューして直すことになります。

「テキトーで品質の悪いコミュニケーション」が、仕事にかかる時間を増やしているんです。

ミスコミュニケーションは無駄の温床

この話、エクセルだからわかりやすいですが、同じことが仕事のあらゆる側面で起こります。

  • 資料上のちょっとした言い回しの差で関係者の認識が一致しない…
  • 理解のすれ違った関係者同士がケンカをはじめて仲裁に追われる…
  • 議事録のちょっとした言葉の直しでレビューの往復が増える…

コミュニケーション上のミスやちょっとした理解のギャップが原因で、あちこちで混乱が起き、多大なる手戻りや本来はやらなくてもよかったタスクが発生します。

知的生産をなりわいにするホワイトカラーの場合、特にコミュニケーション品質ひとつが生死を分けます。

 

本来やるべきタスクに限られたリソースを集中投下できる状態を作るのが「ものごとが正しく伝えること」の本懐です。

コミュニケーションの効率や品質を気にするのは、このためです。

NAE
NAE
ケンカ仲裁用のパワポとか作りたくないでしょ?

一番ケアが必要な「文書によるコミュニケーション」

こういったミスコミュニケーションの中で最も避けるべきは、文書を通じた理解の齟齬です。

資料のひとり歩き

「資料がひとり歩きする」という言葉を聞いたことがありませんか?

自分の手を離れた資料がウワッと広まり、意図しない解釈をされながら連鎖的に伝わっていくさまを指す言葉です。

コピーされ、引用され、2次的3次的な誤解の波及を起こすことすらあります。

資料に書かれた数字がセンセーショナルにピックアップされて「数字がひとり歩き」するなんてことも。

圧倒的な尻拭いコスト

このような「資料のひとり歩き」が起こると事態を収拾するだけでも一苦労。

パイセン
パイセン
なんでこの資料こう書いてあるんだよテメー

なんて問い合わせが殺到して説明に追われる、訂正・謝罪行脚をする、軌道修正のための説明の場を設けるなど、本筋と関係のない尻拭いでリソースが食いつぶされていきます

NAE
NAE
 ぼくもやらかして謝罪行脚をしたことがあります…

説明の場が設けられるならまだいいほう。

本来の意図と異なる伝わり方をした文書が「デファクト」として定着してしまい、本当にやりたかったことが実現できなくなる、なんて事態にもなりえます。

ひとたび世に放たれた文書は、時間や場所を超えて広まり、軌道修正が難しくなるんです。

文書のおおもとはメモ

NAE
NAE
どうしてこんな文言になっているんだ?

と思っておおもとをたどると、実は先々週の会議で書いたメモの文言が出どころだったりするんですよね。

それには、理由があります。メモは文書のおおもとだからです。

 

コミュニケーションにはいくつかの方式がありますよね。

  • リアルタイム:対面、電話、チャットなど
  • 非リアルタイム(対話式):メール、SNSなど
  • 非リアルタイム(一方通行):文書や資料など

これら、大まかには上から下に「落ちて」いきます。

話した内容をメールに「落とす」、チャットで確認したことをドキュメントに「落とす」、ディスカッションした結果をプレゼン資料に「落とす」などなど…

 

この「落とす」作業の第一歩が「メモ」です。

メモは文書作成の初動。メモの品質を高めて足元を固めることで、何人、何百人、何千人もを巻き込んだ壮大なるミスコミュニケーションを未然に防ぐことができます。

正しいメモは自分だけでなく、関係する全員の時間の節約にもつながるんです。

コミュニケーション品質を高めるメモの取り方

だからこそ、足元を固めるために正しくメモを取ろう。

…というのが、この記事の趣旨です。

そこで過去の経験から、こう意識すればミスコミュニケーションが少ないというマイルールがいくつかできあがっていますので、共有したいと思います。

箇条書き縛り

箇条書き。これ絶対。

端的なメモは必ず、必ず箇条書きでできています。

箇条書きは、ビュレットの階層でものごとを分類・整理する最強のツールです。

分類・整理の軸や観点には巧拙ありますが、はじめは議題別に結論→理由と階層化できれば必要十分です。

無駄なことは書かない

言葉の多いメモは誤解の温床です。

1行の長さはテキストエディタの1行に収まる範囲。たかだか50文字くらい。

それ以上の長さは表現が冗長、またはトピックが複数にまたがっている可能性が高いです。

伝わりにくく、複数の解釈を生み、ミスコミュニケーションの元になります。

時系列は捨てる

リアルタイムなコミュニケーションは、よほど上手く設計しないと発散します。

「そういえば」と話題があちこちポンポン飛ぶのは当たり前。

そんなものを時系列でメモると、死ねます。

話をそのままメモるのではなく、トピックごとにビュレットを分け、話の内容を各トピックに振り分けます。

ビジネス日本語縛り

メモには必ず、ビジネス日本語を使います。

ビジネス日本語とは、ビジネス文書に独特の短い言い回しのこと。詳しくは下記記事をどうぞ。

ビジネス文書で使う「ビジネス日本語」はなぜあんなに独特なのか?
ビジネス文書を書いたら「日本語を直せ」と言われ、OKが出るまで直した後の日本語を見ると・・・なんだか言い回しが独特になっている。そういうこと、ありますよね。

ビジネス日本語は読みにくいのが難点である一方、文字数が少なく、正しい文言を捉えれば誤解を生みにくい性質を持っているため、メモには最適です。

ビジネス日本語に熟達した人のメモはほぼそのままビジネス文書にコピペで使えるのも嬉しいポイント。

「効くワード」は一言一句漏らさない

メモは逐語録ではないので、一言一句すべては書きません。

しかし一つだけ例外があります。「効くワード」です。

重鎮が発したキャッチコピー的な言い回しや、そこにいる全員の納得感が一気に高まった「言い得て妙」の一言ってありますよね。

そういうお宝ワードは、その後のコミュニケーションを一気にスムーズにする力を秘めています。

一言一句漏らさずメモに落としましょう。

半年後の自分が読んでも通じるように書く

メモには必ず読者がいます。

メモを書いたその瞬間の自分には意味が通じても、読者にとって意味不明だとしたら?

そのメモはコミュニケーションという点では役に立たないゴミということになります。

ここで言う読者は、他人かもしれませんし、自分かもしれません。

6時間後の自分かもしれません。半年後の自分かもしれません。

半年後の自分が見ても意味が正確に通じるメモを書けたら理想的です。(もちろん、スパンはメモの賞味期限によります)

 独りよがりにならない

書いたメモは、誰かにレビューしてもらいます。

同僚からのクロスレビュー、部下や後輩とのピアレビュー、上司からの品質レビュー。

とにかく「独りよがりのメモ」にならなよう、複数人の視点を入れます。

パソコンで書いたなら「とりあえず今版ですが」とメールで共有します。

もしかしたら、箇条書きの構造化がそもそもダメだと言われるかもしれません。

言い回しが全くもってイケてないなど、ズタボロにNGを食らうこともあると思います。

でも、それでいいんです。その後の壮大なミスコミュニケーションによる尻拭い残業を未善に防いでいると考えましょう。

「こう伝わるだろう」は、多くの場合、その通りには伝わらないものです。

メモの付加価値とは

メモの価値は記録ではありません。整理と要約、適切なアクションにつなげることこそメモの付加価値です。

記録だけなら録音や音声認識、文字起こし専業の人に任せればいいでしょう。

知的生産を行うあなただからこそ、取るメモにも記録以上の付加価値があるはず。

  • 雑多な議論が、整理され、要約されていること(パッと見で正確に伝わる)
  • その後のタスクのインプットたる品質であること(情報量が必要十分)
  • 後続のタスクに混乱が生じないこと(ミスコミュニケーションによる無駄の回避)

知的生産の型は常に「インプット→プロセス→アウトプット」。

自分のメモは、誰かのインプットになることを忘れないでいたいですね。

たかがメモ、されどメモ、です。

まとめ:まず箇条書きを極めよう

以上、仕事におけるメモの取り方マイルールをご紹介しました。

まずは言葉を全部書きとめる逐語録スタイルのメモをやめて、箇条書きで書くことを徹底してみてください。

適切に整理され、バシッと伝わる言葉で書かれた箇条書きを作ることは、見た目が美しくデザインされた資料を作るより何十倍も生産性が高いんです。

メモひとつですべてが伝わり、人が正しく動けるなら、パワポなんていらないんですよ。

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