こんにちは、文章力を鍛えてますNAEです。
言葉は多いけど中身が薄い。よくしゃべるけど内容はスカスカ。
そういう人は「一見デキるようで実は頭が悪い」と思われてしまいがちです。
逆に伝えたい事をバシッと伝えられるとカッコいいですよね。
言葉を上手に使い、言いたいことを端的に表現できる。これは仕事でもプライベートでも役に立つ能力です。
ではどうすれば端的な文章が書けるのか?具体的な技術はあるのか?
といったところを細かに解説しているのが、今回紹介する「わかりやすい文章を書く全技術100」です。
「わかりやすい」文章を書く全技術100 の概要と位置づけ
まず「わかりやすい文章を書く全技術100」について、概要を紹介するととともに、その位置づけを確認したいと思います。
「わかりやすい」文章を書く全技術100 の概要
本書の目的は「わかりやすい文章を書く技術を、身に付けてもらうこと」です。
……(中略)……
本書と同じように、「分かりやすい文章を身に付けてもらうこと」を目的とした本は、多数出版されています。
ですが、これらの類書の中には、掲載されている技術の数が不十分であるものも多いです。
技術の数が足りなければ、当然、わかりやすい文章を書けるようにはなりません。本書には、合計100の技術を掲載しました。類書に載っている技術は、ほぼもれなく、本書に掲載されているでしょう。
「わかりやすい文章を書く全技術100」は、文章力をテクニックの側面から素因数分解し、100個の要素技術としてまとめた解説した本です。
これだけ読むと「全部入りだ」「これだけ読めば文章力がつく」と思われるかもしれません。
しかし、それは違います。
「わかりやすい」文章を書く全技術100 の位置づけ
なぜなら「わかりやすい文章を書く全技術100」が扱っているのは「文章力」の一部分だからです。
文章の構成要素を執筆フローの観点から整理した下記全体像の中で言えば、本書の主に扱う範囲は青字部分にあたります。
- 目的設定と取材
- 想定読者
- メッセージ
- 必要な情報
- 組み立て
- ストーリー
- 段落構成
- 執筆・推敲
- 文章
- 文
- 言葉・表現
つまり本書はあくまで、わかりやすい=意味が通じやすく読みやすい=端的な文章を書くことに特化した書き方指南本です。
本書のみを読んで文章力がついた気になるのはちょっとアブナイかもしれません。
「わかりやすい」文章を書く全技術100 のレビュー
位置づけを理解いただいたところで、さっそく内容のレビューに移りたいと思います。
「わかりやすい文章を書く全技術100」は4つの章に分かれており、それぞれ扱っているトピックは以下のとおりです。
- 1章:わかりやすい文とは
- 2章:わかりやすい文章とは
- 3章:一目でわかる文章とは
- 4章:その他、知っておくべき12のこと
実はこれら、上に挙げた執筆フローで青字で示した4つのパーツそのものです。
1つずつ、見ていきたいと思います。
1章:わかりやすい文とは
「1章:わかりやすい文とは」では、1つの文をわかりやすく書くための技術を50個解説しています。
- 文の要素とその使い方は?
- 1文を短くするには?
- 頭にスッと入る文の構造とは?
これらのテーマを軸に、語句の選び方や「こそあど言葉」の使いっぷり、漢字・ひらがな・カタカナの比率などが具体的に紹介されています。
特に1文を短くする技術は頭に叩き込んでおきたいところ。
本書では
「文を短くする」というのは、わかり易い文章を書くうえで、最も効果的な方法の一つです。
とあります。
また戦後以降で最も売れた本トップ2である「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子)と「道をひらく」(松下幸之助)も1文が短いことを指摘しています。
話し言葉をそのまま文に落とすと1文がダラダラ長くなってしまうもの。
バシッとしたモノ言いをするように、文も短くカッコよくまとめたいですね。
2章:わかりやすい文章とは
「2章:わかりやすい文章とは」では、複数の文からなる文章(段落)をわかりやすく書く技術が34個解説されています。
1章より1つ大きな視点です。解説されているポイントを3つにまとめるとこうなります。
- 文章の要素とその使い方は?
- 文章(段落)を短く保つには?
- 理解しやすい構造・書き方とは?
これ、よく見ると言ってることは1章と同じなんですよね。文が文章になっただけの相似形になっています。
文であれ文章(段落)であれ考えることは同じということなんですね。
解説されているテクニックは多岐にわたります。
見出しや空白行といった基本的なことから、盛りこむ情報の取捨選択、文章を短く保つ表現方法まで。
また読者の理解を途切れさせない文と文のつなげ方や、段落の中での文の順番(全体→詳細、結論→理由など)にも触れられています。
3章:一目でわかる文章とは
「3章:一目でわかる文章とは」では、2章の視点をさらに広め、複数の段落からなる文書をパット見で理解できるようにする技術が4つ挙げられています。
- 最初に概要を書く
- 見出しだけで話の流れがわかるようにする
- 文章の最初と最後だけ読めば言いたいことが伝わるようにする
- 見てほしい箇所は強調する
パッと見で伝わることは、特にビジネス文書では重要です。
ビジネスでは限られた時間で情報をやりとりし、読みとき、素早く判断することを求められます。一言一句、文書を読み込んでいるヒマなんてありません。
そのため「結論はコレ、理由はざっくり言うとコレ、詳しくはコレ」のように、いち早くアクションに移せるコミュニケーションが必要です。
本章には、そのためのコツが描いてあります。
4章:その他、知っておくべき12のこと
最後の「4章:その他、知っておくべきこと」では、文章そのものではなく、文章のテーマ決め、設計、推敲、文章力の鍛錬に関する技術が11個紹介されています。
技術というより、
- 文章を書くときのおおまかな流れ
- その中で気をつけたいポイント
- 文章力を鍛える方法
について軽く紹介している、と言ったほうが良い内容です。
大事なことは書かれているんですが、概念的なレベルにとどまっています。1〜2章ほど具体的な技術は書かれていません。
本章の具体的なところは他の書籍にゆずり、軽く読み飛ばすくらいでいいと思います。(おすすめ書籍を後ほど紹介します)
読んでみた率直な感想
読んでみて率直に、役に立ったと感じました。
端的な表現のポイントを身につけるなら読んで損はないと思います。
特に1章と2章には「読みやすい文章を書くコツ」が集約されているので必見。
各々のテクニックについて、具体例を交えながら細やかに解説しているため、読むだけでも学びがあると思います。
どんな人にオススメ?
この本は、文章を書き慣れた人が
- さらなるブラッシュアップのため
- 自分の文章力の再点検のため
に読むのに適した本だと思います。
本書は「技術」を集めて文章の要素の大きさ順に整理した、辞書のような構成になっています。
学ぶ順番はあまり考慮されていないため、文章力をゼロから学び、鍛えたい人にはあまりオススメできません。
文章力を磨くために、あわせて読みたい関連書籍
「わかりやすい文章を書く全技術100」は文章力の一部(下記青字部分)に主に焦点を当てているというお話をしました。
- 目的設定と取材
- 想定読者
- メッセージ
- 必要な情報
- 組み立て
- ストーリー
- 段落構成
- 執筆・推敲
- 文章
- 文
- 言葉・表現
そこで本書で深く触れられていない上記1.〜2.をカバーする関連書籍として、「新しい文章力の教科書」をオススメしたいと思います。
「新しい文章力の教室」では構成シートというものを用いて、誰に、どういうテーマで、どのようなメッセージを伝えるか、そのために必要な情報は何か、組み立てるための方法はなにか・・・などを明確にする方法論が解説されています。
まさに「わかりやすい文章を書く全技術100」を補完する内容ですので、ぜひ一緒に読んでみてください。
「新しい文章力の教科書」はこちらの記事で詳しくレビューしています。
まとめ:初学者には向かないけど技術を再確認したい人に
以上、「わかりやすい」文章を書く全技術100のご紹介でした。
この本は、端的な文章を書くための技術が網羅的に紹介されており、かつ内容も納得感のある良書です。
本の構成は学ぶ順番をあまり意識せず、個別具体的な技術の整理と紹介に特化されています。
そのため文章力をゼロから学びたい人には向きません。
すでに何冊か文章力に関する本を読んでいる、または文章を書き慣れている人にはとても読み応えがあると思います。
Kindle Unlimitedの加入者は無料で読めますし、そうでない人もKindleで99円で買えますので、ぜひ手にとってみてください。
100円でこの内容なら大満足です。
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