Kindle Unlimitedに「実践! タイムマネジメント研修: より少ない時間で、より高い成果を出すために」という本が出てきたので読んでみたんですが……
正直、驚きました。
今回は「実践! タイムマネジメント研修」のレビューです。
ビックリその1:自前の方法論がキレイに言語化されていた
これまでぼくも、結構苦労して自前で時間術を方法論化してきたつもりでした。
が、本書にて自分が考えた方法論以上に、キレイに言語化されていました。
たとえば本書で紹介されている時間術や生産性アップの要諦として挙げられていたポイントでいうと……
- 「クラスタリングされたスキマ時間で仕事はこなせる」
→ 電車の中でのパソコン作業は集中力がケタ違い - 「スキマ時間活用の組み立ては物置の整理に似ている」
→ 時間を空間としてデザインする「箱庭時間術」は右脳優位の人におすすめ - 「指示する側が」
→ 未来の自分に仕事を振ると生産性があがるし気が楽になる - 「単位時間あたりの生産性は山のように変化する」
→ 著書「無理難題」1章:「2割の短距離走を繰り返す」 - 「過剰品質に気をつけろ。曖昧な指示や確認不足は敵」
→マジやめて!「よしなに」の意味を誤解した使い方が厄介すぎる
なんとまあ……という感じです。
先人に知恵を借りることを「巨人の肩の上に立て」と言いますが、ぼく自身、巨人の肩の上に立てていなかったようです。
参考 仕事がつまらない? 急速に腐りゆく「意識高い系」新入社員に贈る言葉
ビックリその2:認識と実態のギャップを巧みにえぐり出す
タイムマネジメントの要諦は、「スキマ時間の有効活用」「単位時間あたりの生産性が高い時間帯を増やす」の2点。
これらについて、本書では実体験に基づき、認識と実態のギャップを非常にわかりやすくえぐり出しています。
たとえば「単位時間あたりの生産性」のよくある認識として
- 仕事がノッてくるまで30分くらいかかる
- ピークその先はどんどん効率が落ちる
- 締め切り直前になって間に合わせのためグッと頑張る
と、グラフにすると「偏り富士」となる場合が多いと紹介されていますが……
業務改善コンサルの観点で実際に観察してみると、はじめの5分くらいでも十分に捗っているんだそう。
つまり、「ノッてくるには30分かかる」はただの思いこみだと。
「へー」ですよね。
たかが5分、されど5分。生産的に過ごせば5分のスキマ時間を積み重ねれば1時間分くらいの仕事ができてしまうと。
このほかにも
- 始業前の「ひまつぶし」ルーティン化による悪循環
- 知らぬ間の「阿吽の呼吸」による思い込みと過剰品質
などなど、人の心理と実態のギャップに起因する生産性アップの阻害要因とその対処法についても、かなりしみじみ紹介されています。
ビックリその3:読後の記憶定着率が半端なく高い
通常、本で読んだことは時間とともにどんどん忘れていくものです。
が、本書は読後の記憶定着率が、ものすごく高いんです。
ぼくが自分自身で時間術を考えてきた背景も影響しているかもしれませんが、それを差し引いても
「あ、この本の内容は絶対に頭に残るな」
と感じるポイントが2つあります。
つぶさな描写を含むストーリー形式
本書は、つぶさな描写を交えたストーリー形式で書かれています。
業務改善コンサルタントの「日向(ひむかい)」が主催する研修に、主人公の「斎木」が参加する……というストーリーで様子を描いているのですが、実際の研修風景が目に浮かぶような、本当に研修を受けているようなイメージで読むことができます。
読者の疑問を先回りして拾う、巧みな展開
読者の疑問ポイントをかなり精緻に捉えているのも巧みです。
研修の進みにあわせてちょうどいいタイミングで参加者が「ちょうどコレ聞きたかった」と思える質問を投げるんですね。
おそらく、実際の研修を重ねる中で「よくある質問や展開」を盛り込んだんでしょう。
かなりわかりやすく、1回読み通すだけでもかなりスッと腹落ちします。
「実践!タイムマネジメント研修」を読むべき人
こんな人におすすめ
- なぜか残業続きだけど、その理由がわからない人
- 今までのやり方を顧みず、なんとなくで仕事をしている人
- 時間効率をあげる具体的なステップを知りたい人
時間は万人に等しく与えられたリソースです。時間効率をあげるには、時間の使い方を工夫するしかありません。
本書には、なんとなく仕事をしていると陥ってしまう惰性や慣性の罠と、それらを避けて時間効率をあげる方法が、とてもわかりやすく具体的に書かれています。
なんとなく残業続きだけど、具体的な改善方法がわからない。
そう感じている人は、ぜひ一度読んでほしいと思います。
まとめ:
総評:
第1章は本編と関係ない主人公の身の上話が続くので、退屈に感じるかもしれません。
が、2章以降の研修パートに入ると一気に読み進められてスッと頭に入ってきます。
正直、もう少し早く出会いたかった一冊でした。
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