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仕事で使ってはいけない「参考にする」という思考停止ワード

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成果につながらないビジネスコミュニケーションは無駄です

たとえば会議なら、決定事項という成果そのものや、To Doという成果につながるアクションを決めることがルール化されていると思います。

しかしこれがマンツーマンの会話だったらどうでしょう?成果や次のアクションうやむやなまま、会話を終えていませんか?

特に気をつけたいのが「参考にする」「参考にしまう」という、それっぽいけど実は意味がない思考停止ワード

今回は「参考にする」がなぜ悪いのか、なぜ使ってしまうのかについて、言われる側と言う側の両方の視点から考えてみたいと思います。

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「参考にする」の意味とは?

そもそも「参考」とはどのような意味なのでしょうか。定義を確認してみます。

さん‐こう〔‐カウ〕【参考】

[名](スル)何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料。「研究の上で参考になる」「内外の判例を参考する」

(出典:参考(サンコウ)とは – コトバンク

一言でいえば「自分の考えの足しにする」という意味だそうです。

つまり、必ずしも何かのアウトプットへのインプットとして利用するわけではないと暗に言っているわけですね。

なんと便利な言葉でしょう。

「参考にする」は悪しき慣用句

しかし、冒頭に書いたとおり有意義なビジネスコミュニケーションは成果につながってしかるべき。

物事を決める、進める、次につなげる、品質向上に貢献する・・・

こういった意味のある成果に貢献せず、結論がふんわりとうやむやな会話は、正直言って無駄です。

会議でたとえるなら、全員が好き放題言って「なるほど」顔をしているけど、結局なにも合意されていないようなもの。

「参考にする」という言葉は何かが合意されたように聞こえるので、会話が締めとしてとても便利です。

しかし実はなにも決まっていないし、明確な合意もされていない。ただ単に会話を終わらせるだけのクッション言葉でしかないんです。

「参考にする」は格好のツッコミ対象

そのため、ビジネスの場で会話の相手が「参考にする」と口にするたび

NAE
NAE
どう参考にするの?
NAE
NAE
次のアクションは?

とツッコミを入れたくなってしまいます。(相手がクライアントであれ上司であれ・・・)

特に部下に「これは絶対に反映しないとあとでヤバい」というタイプの指示めいたアドバイスをした返しに「参考にさせていただきます」が来たら、おいおいちょっと待てと言いたくなってしまいます。

業務上の指示に「参考にする」はNG

特に業務上の指示に対して「参考にします!」と元気よく返すのはNGでしょう。

アドバイスと指示は違います。アドバイスは採用するかが受け側にゆだねられます。

しかし指示は命令ですので、やるかやらないかしかありません。

指示に納得がいけばやる。いかないなら、やるべきでない根拠と代案とともに、指示した人にディスカッションをふっかけるべき。

「これ、こうやってね」『はい、参考にします』なんてやりとりは、ありえないんです。

「参考にする」を使えるシチュエーションとは?

と言いながら、ビジネスの場で「参考にします」を使うシチュエーションがないわけではありません。

具体例を2つ、お話します。

価値のない会話をいち早く終わらせる

ひとつが、価値のない会話をいち早く終わらせる場合です。

たとえば、どう考えても本質的でない助言や、内容がトンチンカンで聞くだけ毒になるクソバイスを受けたとしましょう。

そんなときはにこやかに「参考になります!ありがとうございます!」と言い放ち、さっさと会話を終わらせるのが得策です。

直接的・間接的、短期的・長期的に成果につながらない会話は、ビジネスコミュニケーションの観点では無駄でしかありません。

無駄な会話は抹殺しましょう。

人間関係の緩衝材として使う

もうひとつが、人間関係の緩衝材として使う場合です。

たとえば、いつもお世話になっていて恩すら感じている重要なステークホルダーから、根も葉もないクソバイスが飛び出てしまったとしましょう。

意味のないことはわかっている。しかし角の立つ言葉で反論し、ロジックでボコボコにしたら人間関係が崩れてしまう。

そんなときは一通り話を聞いたあと、元気よく「なるほど!参考にさせていただきます!」と言ってあげればよいでしょう。

きっと相手は自分の言っていることを聞いてくれた事実に満足してくれると思います。

「参考にする」を英語で言うと?

原則としてビジネスコミュニケーションで使うべきでない「参考にします」という言葉。

ものごとを曖昧でうやむやに保ち、真綿に包むことで和を保つ、という日本語の美徳がよく表れていますよね。

では逆に、ガシガシ議論することが当たり前の英語では「参考にします」と同じ言葉はあるのでしょうか。

英語にすると意味が厳密になる

英辞朗オンラインで「参考にする」を調べてみると、「実際どういうアクションをとるのか」に近い意味の言い回しが出てきます。

たとえば、

アドバイスを参考にする ⇒ draw on advice

とありますが、「draw on」の意味を引いてみると

draw on ~ ⇒ 手段として利用する(そのまま適用する)

という意味。つまり「アドバイスの内容をそのまま実施する」ということになります。

必ずしもアウトプットに繋げることを約束しない日本語の「参考にする」とは意味の厳密さレベルが異なるようです。

「参考にする」の曖昧さは日本語独特か

つまり、「参考にする」のふんわり感は日本語独特のもののようです。

「参考にする」は、意味の厳密さに欠けながらも「あうんの呼吸」や「空気感」で通じてしまう日本語の特性を代表するような言葉なのでしょう。

「よしなに」と一緒ですね。

マジやめて!「よしなに」の意味を誤解した使い方が厄介すぎる
よしなに作っといてと言われたので一生懸命考えて作りこんだけど「イメージが違う」の一言でひっくり返る。無駄すぎてやってられないですよね。対策あります。

まとめ:何をどう参考にするか明示しよう

以上、ビジネスコミュニケーションにおける「参考にする」の意味についてお話しました。

まとめると、アドバイスに対して「参考にする」と言われたときは

  • 聞き側がなにも考えていない
  • 言う側が本質を外している
  • 単に気を遣われているだけ

ということになります。

アドバイスする側もされる側も、有意義なコミュニケーションを心がけたいものですね。

コメント

  1. 名無しさん より:

    なるほど…参考になります‼

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