過去記事「「仕事を3倍速くしてね」と言われたので本当に3倍速にした」や、拙書「無理難題」でも紹介しているとおり、仕事の速さを3倍にするのはそこまで難しいものでもありません。
基礎的な仕事のテクニックを組み合わせて使いこなせば、3倍速はわりと簡単に達成できるものです。
しかし、3倍速で仕事するのにもデメリットがあります。
今回は、そのデメリット部分にフォーカスしてみたいと思います。
1. 自分への期待値があがりすぎる
ひとたび3倍速の仕事術を身につけると、自分は本気を出せば3倍速で走れるという自己認識が生まれます。いかなるときも、自分がどんな状態でも、やろうと思えば3倍速でできる、と。
しかしここに罠があります。自分の状態によっては3倍速が難しいという事実です。
たとえば風邪を引いているなどの物理的な不調、気分が沈んでいるなどの心理的な不調など、どうあがいても3倍速に達成できない状態に陥ることはよくあります。
にもかかわらず、自分=いつでも3倍速できると思ってしまっていると、自己認識と実際のパフォーマンスのギャップが原因で、必要以上にヘコんでしまうことがあります。
ただでさえ体調不良や気がかりなことで凹んでいるのに、仕事のパフォーマンスが出なくてさらに追い打ちをかけられるのは、結構つらいもの。
ちゃんと自分へのハードルをコントロールしてあげる必要があります。
参考 がんばった自分の努力を認めてあげる。その基準のコントロール方法
2. 周囲からの期待値があがりすぎる
「コイツは無理難題でも3倍速でこなしてくれるヤツなんだ」……と、まわりの人間に認識されるリスクもあります。
人というのは怖いもので、他人に仕事を振るときは、実際に自分がやるとしたらどのくらい大変か想像しないまま、アウトプットと期限だけを伝えて「あとはよしなによろしく」としてしまう生き物です。
仕事を振ったほうは、アウトプットと期限しか見ていません。期限より前倒しでブツが出てきたら、「そっかこのくらいのスパンでできるのか」と安易に認識してしまいます。振られた方が血反吐を吐くような経験をしていたとしても、です。
すると、こちらが血反吐を吐いて達成した期限が、相手にとっては当たり前の期限になるので、血反吐を吐くような仕事の振られ方を、今後末永くされることになります。
3倍速にするだけで「期待値コントロール」をおろそかにすると、消耗するのは自分だけなんですから。
参考 常に期待を超える成果を出し続ける方法「期待値コントロール」
3. やりすぎると倒れる
3倍速で仕事するのは、ドラゴボールの「界王拳」みたいなもの。時間限定で自分の戦闘力をブーストする、ドーピング技です。
そのため、正直1日8時間、絶え間なく3倍速で仕事をし続けるのは困難です。使いどころを見極めないと、心と体、どちらかに無理が生じます。
ぼくも本記事執筆の1週間前、手持ち案件の佳境が重なって「常時3倍速」を1週間続けた結果、体調不良に見舞われて土日ぶっ倒れていました。
もちろん、3倍速の時間帯を増やす修行で仕事の基礎体力が鍛えられる側面もありますが、筋トレと同じでオーバーワークはNG。
「昔の3倍速=今の等速」みたいに成長するのが理想ではあるものの、マラソンと同じように、きちんとペースを保っていくことが、長い目で見ると大事です。
適度にサボるなり、スキマ時間で上手に寝るなり、自分に休息を与えつつ、仕事に緩急・メリハリをつけましょう。
参考 10秒でも寝ろ!スキマ時間で効率的に休息を取る方法まとめ
まとめ:立ち回り方を覚えよう
やる気にあふれたビジネスパーソンは、とにかくゴリゴリ仕事をこなして成果を出そうとしがちです。
アウトプット至上主義も悪くはないものですが、そればかりになるとそのうち苦しくなるので、
- 自分の状態を見て、自分へのハードルをコントロールすること
- 相手の期待値を把握して、可能な限りハードルを下げること
- 生産性アップに躍起になりすぎず、自己メンテすること
の3点を意識した立ち回りをしてみてはいかがでしょうか。
以上、見過ごされがちな「3倍速で仕事をする3つのデメリット」でした。
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